【レビュー】実写版『アラジン』 追加曲「Speechless」に込められた性差別への叫び

アニメ/映画

周りの評判がとても良くて、見たい見たいと思っていながらなかなか見に行けずだったのですが、公開終了ギリギリで観ることができました。

最近見た映画の中ではトップ3に入るぐらい良く、最近の「ディズニー怒涛の実写化祭」の中では圧倒的に一番良かったので、その感想を書いていきたいと思います。

ストーリーは知っての通り

ストーリーは皆さんが知っているあの「アラジン」から大きく変わりません。

泥棒をしながら食い扶持をつないでいるアラジンと、王宮を抜け出してこっそり街に出てきたジャスミンが出会うところから物語は始まります。

魔法の絨毯やランプの精ジーニーとの出会いを経て、魔法の力でジャスミンにアプローチをかけるアラジン。

二人の恋はどうなるのかな、って話です。

あまり詳しく書かなくても、皆さんわかっていると思います。

大元のストーリーは同じですが、所々詳しく描かれていたり、少し展開が変わっていたリします。

後述しますが、特にジャスミンの描かれ方が大きく変わっています。
同時に一番の見どころでもあります。

ヒップホップを取り入れた新しい「アラジン」の世界

ディズニー映画といえば、やはり歌です。

あの名曲たちがどのように生まれ変わったのか、と楽しみでした。

いざ聞いてみると、使われている楽曲は全体的にヒップホップ寄りのアレンジ

あの世界観でヒップホップ?と思うかもしれませんが、アラビアンの雰囲気を持ちながらも小気味良いリズム感で奏でられる楽曲は、アラジンの世界観に違和感なくマッチしていました。

また、ヒップホップに寄せたこともあって、ダンスが多く取り入れられていたのが印象的でした。

数十年前の作品をリメイクするにあたって、どのようにして現代に寄せるか、というのはリメイク作品を観るときの楽しみの一つですが、この映画はそれを非常にうまく成し遂げたのではないかと思います。

個人的には満点です。「最高」の一言に尽きる。

ウィル・スミス演じるジーニーとヒップホップの組み合わせはぴったりでした。

追加楽曲「Speechless」に込められた本作のメッセージ

アラジンの楽曲はもともと好きな曲が多く、それらが現代風にアレンジされるだけでめちゃくちゃテンション上がります。

まず1曲目からぐいぐいと映画の世界観に引きずり込んでくるんですよ。

あの曲、「Arabian Night」。いいですよね。もともと大好きな楽曲です。

けどそんな楽曲の中でも最も心を打たれたのが、ジャスミンが歌うソロ曲「Speechless」
今回新規追加となった楽曲です。

この曲が本当に良かったです。

性別による縛りへの憤り

「アラジン」は身分違いの恋を通して、地位や名誉を手に入れても清らかな心を失わないことの大切さを描いた作品かな、と思います。

今回の実写版もその流れに忠実なのですが、メッセージの焦点が少し変わっています。

上記に加えてこの映画で描かれるのは、男尊女卑の世界で強く生きるジャスミンの姿。

彼女の姿を通して、女性の社会進出や平等な権利を訴える、そんなメッセージが込められていたと感じました。

このメッセージが一番前面に出ていたと思います。

身近な問題、だからこそ胸を打つ

やはり時代が違えば視点も変わるというわけです。

近年、男尊女卑の考え方は古いものとして淘汰され、性別によらない平等な評価が認められ始めてきました。

それでもなお、偏見や差別というのは根強く残ります。

そんな今の世の中だからこそ、この映画がジャスミンを通して描く女性像は、人々の心を強く揺さぶったのではないでしょうか。

唯一の追加楽曲である「Speechless」はそんな女性の心の声を、熱量をもって歌い上げています。

男尊の世にあらがえず、抑え込んでいた感情がいよいよもって溢れ出る、そんな力強い印象の楽曲です。

この曲だけで観に行った価値があるといっても過言ではない。それほどに魅力的でした。

気軽に観れる至高のエンターテイメント

歌やダンス、アクションによるパフォーマンスがこれでもかというほど盛り込まれていて、視覚的にも聴覚的にもとても気持ちの良い2時間でした!

ストーリーがわかっているにも関わらず、飽きることなく楽しめるというのはすごいことです…!

本当に最高のミュージカル映画でした。

次のディズニー実写化は「ライオンキング」ですね。楽しみです!

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