【レビュー】『風来のシレン6 とぐろ島探検録』は原点回帰と遊びやすさを両立した良作

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14年ぶりの新作。
私は全シリーズをプレイしているわけではないものの、シリーズの半分ほどはプレイしており、どれもそれなりにやりこみました。

今回はシリーズ経験者の視点も交えつつ、今作のレビューをしていきます。
購入を検討している方の参考になれば幸いです。

ローグライクとは

『風来のシレン』シリーズは日本における「ローグライク」ゲームの金字塔であるわけですが、そもそもローグライクというゲームジャンルを知らないという方に向けて、簡単に説明しておきます。

「ローグライク」には以下のような特徴があります。

  • 入るたびに地形の変わるマップ
  • ターン制の戦闘システム(こちらが1つ行動をすると、敵も1つ行動する)
  • 死亡したら始めからやり直し(集めたアイテムやレベルもリセット)

特に3つ目の「死亡したら始めからやり直し」というのが、ライトゲーマーから敬遠されやすい理由だと思います。

「死んだら今までの時間無駄じゃん!」と、タイパ重視の現代人は思うことでしょう。
しかし無駄ではない。
プレイヤー自身の経験として残っていくのです。

「10階で嫌な敵が出てくるから、それまでに対策しておこう」
「アイテムを使ったらピンチになった。次からは安全な場所で使おう」
とか。

だんだんとプレイが洗練されていき、一歩また一歩とゴールに近づいていく感覚には、えも言われぬ喜びがあります。

とはいえ、経験者であっても死んだときはへこみます。
ゴール手前で死亡した時なんか、「二度とやらん」と思っちゃう。
でも気づいたらまた挑戦してる。
「ローグライク」とは、そういうゲームなのです。

風来のシレンの魅力

ここまで読んでも、こんなマゾゲーのどこが面白いんだと思う人もいるかもしれません。
これについてはNintendo公式の紹介文がシンプルでわかりやすいので引用します。

冒険の途中で力尽きると、道具・お金・装備などの所持している持ち物をすべて失い、レベル1からの再スタートに。予期せぬ展開とやり直しがきかないリスクの中で、プレイヤーはスリルに満ちた緊張感あふれる冒険を楽しむことができます。

My Nintendo Store「不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録」紹介ページより抜粋
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000062950.html

「予期せぬ展開とやり直しがきかないリスクの中で、プレイヤーはスリルに満ちた緊張感あふれる冒険を楽しむ」

これが魅力のすべてです。

一つのミスが死につながる緊張感。
上手い立ち回りができた時の爽快感。
ダンジョンをクリアできた時の達成感。

これらを味わうために我々はプレイし続けるのです。

それともう一つ、分かりやすい魅力の一つとして「ガチャ」要素があります。

シレンでは基本的にアイテムはダンジョン内で調達します。
なので、良いアイテム(装備)を拾うことができなければ、その分難易度は上がっていきます。

一方で、序盤から強いアイテムを拾うことができたなら。
クリアまで無双できることもあります。

「次は良いアイテムが出るかもしれない」というガチャの要素がプレイヤーを奥へ奥へと誘っていくわけです。

とはいえ、拾ったアイテムで上手く立ち回ることができなければ、その先にあるのは死。

ランダムに与えられたリソースで有利になるよう進めていくという点では、手札を消費して戦うカードゲームにも通ずると思います。

「1000回遊べるダンジョンRPG」というキャッチコピーの通り、何度でも挑戦したくなる中毒性の高いゲームデザインですね。

「原点回帰」で初心者にも配慮

『風来のシレン』シリーズは今作で6作目。
番外編やリメイクを入れるともっと多いです。

ゲームデザインがライトゲーマー向きではないこともあり、ちょっと新規が手を出しづらい雰囲気もあるのかなと思います。
シリーズものの宿命ですね。

ですが、今作のテーマは「原点回帰」
初めて『シレン』に触れる人でも比較的取っつきやすい作りになっています。

その理由はいくつかあります。
一つは、システムの簡略化
これまでのシリーズ、特に4や5など最近の作品ではマンネリ化を防ぐためか一部のシステムが複雑になっていて、始めてプレイするには取っつきにくくなっていました。
(「おにぎり」の代わりに「バナナ」を出してみたり、剣や盾に成長要素を加えてみたり、昼夜の概念を入れてみたりなど)

今回はそういった捻り要素を全部廃止していて、シンプルでわかりやすくなっています。
かといって難易度が下がっているかと言えばそうでもなく、ちゃんとやりごたえもあります。
そうそう、これでいいんだよ。

それと、図鑑が充実していることも初心者には嬉しいと思います。
対峙している相手のHPや攻撃力、どんな攻撃をしてくるかなどの情報が、図鑑から確認できます。
今まではネットで調べたりしてプレイするのが主流だったので、かなり親切になりました。

あとは、ちょっとしたギャグ要素が廃止されたことも個人的には大きいと思います。
過去作のシレンでは、アイテムの説明欄で軽いギャグをかましていたり、名前の見間違いによるミスを誘うようなアイテムがあったりしました。

これはこれで面白い要素だったかもしれませんが、ちょっと内輪っぽくて新規には辛いですよね。

それが今回は廃止されました。
伝統のような要素にもちゃんと見直しが入っていることは素直に良いと思います。

まとめ

シリーズの中でも非常に質の高い今作。

Amazonでは「ゲームシステムを知らずに買って後悔した」みたいな星1レビューが多々あって、ちょっとした話題になっていましたが、このご時世に事前に調べもせず買う人がそんなにいると思えないので、おそらくネタレビューだと思います。

売上も好調のようで、YoutubeやTwitchなどで配信している方もよく見かけます。
14年ぶりの新作ですし、気になっている方は是非この機会にプレイしてみてはいかがでしょうか。

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