ついにリリースされた『学園アイドルマスター』。
2018年の『アイドルマスター シャイニーカラーズ』から6年越しのシリーズ新ブランドということで、ファンの間では大きな期待がありました。
リリース日からプレイをはじめ、ある程度ゲーム内容を理解してきたので、感想を交えつつレビューをしていきます。
これから始める方の参考になれば幸いです。
どんなゲーム?
プレイヤーは初星学園・プロデュース科の大学生。
同学園のアイドル科に通う女の子たちをプロデュースして、アイドルとしての成功を目指していきます。
ゲームの流れとしては、シナリオを読んで担当アイドルのことを少しずつ理解しながら、レッスンでステータスを育てて、実技試験に臨む、というかたちです。
ゲームジャンルとしては「デッキ構築ローグライク」にノベル要素(ギャルゲー要素)が追加された感じ。
「デッキ構築ローグライク」というのは、1プレイの中で自分のデッキを強化しながらターン制のカードバトルを繰り返し、ステージのクリアを目指していくというジャンルです。
2019年1月にリリースした「Slay the Spire」(以降StSと表記)というゲームが大流行して、一大ジャンルを築き上げました。
ゲームシステムについて
基本的なルールはStSと一緒です。
本家では敵モンスターに対し、互いにダメージを与えながら戦うわけですが、学マスでは敵は出てきません。
カードを使ってポイントを稼ぎ、設定された合格値を越えるとクリア、というルールです。
カードを使うためにはライフの消費が必要で、基本的には強いカードほど多くのライフを消費します。
ライフが0になってもゲームオーバーになるわけではないですが、カードが使えなくなるので、実質負け。
最初は10枚程度の弱いカードで構築されたデッキですが、新しいカードを増やしたり、既存のカードを強化したりしてどんどん強いデッキに仕上げていきます。
なお、デッキはプレイごとに初期状態に戻ります。
なので、「今度はこのカードを使ってみよう」とか、「これとこれを組み合わせたら強いかも」とかを考えながら、毎回新鮮な気持ちで楽しめるわけです。
何度もプレイすることでプロデューサーのレベルが上がっていき、レベルアップごとに新しい要素がアンロックされます。
プロデューサーレベルが上がるほど強いカードが解放されたりと、ゲームを有利に進められるようになります。
カードの種類は簡単に分ければ、ポイントを上げるカード(いわゆる「攻撃」カード)、ライフの消費を抑えるカード(いわゆる「防御」カード)、有利な状態を付与するカード(いわゆる「サポート」カード)の3種類があると考えられます。
目標をクリアするためには「攻撃」しなければいけませんが、ライフをゼロにしないよう「防御」も必要です。
ただ「攻撃」と「防御」をするだけでは、指定ターン内での目標達成は難しいため、それを「サポート」するように有利な状況を作っていきます。
このバランスを考えてデッキを構築していくのがこのゲームの楽しさ。
アイドルによって得意な戦い方が変わるのも面白いところです。
ソシャゲとデッキ構築型ローグライクの相性について
周回必須のソシャゲにおいて、ローグライクは非常に相性が良いですね。
何度もプレイしないといけないのに、毎回同じ経験しか得られないのでは、当然すぐに飽きてしまいます。
私は、学マスの面白いところはランダム要素と成長要素にあると思っています。
ランダム要素
学マスでは、ランダムな要素が要所にあります。
プレイ中に手に入るカード、発生するイベント、レッスン/試験中に引いてくるカードなど。
特に良い点は、これらが理不尽でない程度のランダムだということです。
ゲーム性が違うので単純な比較はできませんが、例えばウマ娘では理不尽なマイナス効果が確率で発生し、一部のユーザーから不評だった印象です。
(その分、ランダムで嬉しい効果も発生するので、ギャンブル的な面白さはありました)
学マスでは、「欲しいカードが手に入らない」「理想的な順番でカードが引けない」みたいなことはありますが、プレイヤーの手腕である程度リカバリーすることが可能。
ランダム要素としては、ガチ勢でなくても楽しめる程度のちょうど良いバランスだと思います。
成長要素
本家にもあるシステムですが、学マスでもプレイをするごとに要素がアンロックされ、できることの幅が広がっていきます。
より強い効果のカードが手に入るようになったり、不要なカードの削除ができるようになったり。
特定の条件を満たしてアイドルとの信愛度を上げれば、それだけで単純にステータスが上がったりもします。
この点はRPGの楽しさに近いです。
頭を使わずにただ何となくプレイしたいユーザーも、繰り返しプレイするだけで以前よりも強くなれます。
ゲームの裾野を広げるという意味では、とても有効なシステムだと思います。
学マスならではの要素について
デッキ構築型ローグライクがこの手のソシャゲと相性が良いことは上述の通りです。
それ以外にも学マスならではの要素があると感じたので、それらについて説明していきます。
グラフィック
3Dモデルやモーションで高評価を受けていたウマ娘と同じかそれ以上にクオリティが高い。
学マスの開発に携わっているQualiArtsはウマ娘の開発元であるサイバーエージェントの子会社ですから、ある程度ノウハウは引き継いでいるのでしょうね。
モデルの動きもさることながら、個人的には表情が生き生きしていてとても良いと感じました。
生きてそこにいて、感情を持って動いているように、ちゃんと見えます。
ライブパートのカメラの動きや演出も良く、映像を見ているだけで大満足です。
シナリオクリア後のライブでは、プレイヤーがアイドルを撮影できるのですが、
ある程度どこを切り取っても、エモーショナルなフォトになるところ。
本当に一瞬の表情とか動きにも無機物っぽさがなく、ちゃんと「一生懸命頑張っているアイドル」としてプレイヤーの目に映ります。
これは正直感動しました。
ライブパフォーマンスの変化
リリース前から大きな売りの一つとして発表されていた、「成長によってステージでのパフォーマンスが変わる」というシステム。
これは今までになかった面白い試みですし、「アイドルを育てる」体験に重きをおいたアイマスシリーズにはうってつけのアイデアだと感じました。
シナリオの最初で「今の実力を確認する」というのがあって、プレイヤーはまずそこで下手な歌を聴きます。ちゃんと下手だし、自信なさそうで良い。
頑張ってステータスを上げていき、シナリオ最後のライブでは歌も表情もよくなっていて、そういうシステムだとわかっていても感動します。
上手さはパラメータに応じて変わるそうですが、どういう区切りになっているかはあまりわかりません。
ボーカルのレッスンをあまりしてないと歌は下手なままなのかな、という感じもしますが、イマイチどれくらいの影響があるのかはわかってません。
ただ、様々な条件を満たすことで見られるTrueエンドのライブでは、ステータスに関わらず最高の状態でのパフォーマンスになっていました。
このライブ、めちゃめちゃ良くて泣いてしまったので、是非自分の目で確かめていただきたい。
キャラクターやシナリオについて
それぞれ抱えている問題について一緒に解決しながらアイドルロードを歩んでいくのは従来のシリーズと同様。
メインキャラクターの3人が、仲良し3人組じゃなくて敵視し合うライバル同士なのは斬新さがあって良い。
敵視していた者同士の間に少しずつ絆が生まれていくのは良いものですから。悟空とベジータの関係と同じです。
ちなみに、センターの花海咲季はもともとライバルとして出す予定だったそうですが、企画の段階で当初予定していた主人公と入れ替えたそうです。
そういわれてみれば、ストイックに上を目指していく性格はなんとなくライバルポジションっぽいですね。

シナリオの文体や雰囲気も、今のところ特段の違和感はなく読めています。こういうのはものによっては結構癖があるから…。
ただ個人的には、このアイマスシリーズにおいてプレイヤーは「プロデューサー」をロールプレイするものという認識だったので、シナリオ中でアイドルの心の声が聞こえることには違和感。
「シナリオを読む神視点の自分」と「アイドルをプロデュースする当事者である自分」の間に乖離が生まれている気がして、少し気になる。
これまでのシリーズでも、プロデューサーのいない場所での出来事がシナリオになっていたりはしたので、今さらではあるけれども。
個人的には、シャニマスのように考える余地を持たせた書き方の方が、より感情移入しやすい。
とはいえ、手毬やことねのように内と外で二面性を持つキャラクターは心の声が聞こえるからこそ成り立つので、設定上仕方がないとも思う。
この辺りの好みはユーザーの年代によっても大きく分かれそうなので、難しいところなのでしょうね。
ゲームのテンポについて
「一回のプレイ」というミクロな視点で見れば、育成中に挟まるコミュがあまり長くないのはテンポ感を失わなくて良いと感じました。
シャニマスとかウマ娘はコミュが長くて、「ゲームやらせてくれ」ってなりがちだったけど、今回は今のところちょうどよい感じ。
ただ、ゲーム全体のテンポ感を考えると、コンテンツの開放が遅いのがブレーキになってしまい、少しもどかしかった。
本家StSでも、プレイするごとに新しいカードやレリックがアンロックされていくけど、学マスはそのスピードが遅い。
リリースから数時間プレイしてもデッキのカードを削除するシステムが解放されなかったのは辛い。
長く遊んでも新鮮さを損なわせないための工夫だとは思うが、ゲーム体験に大きくかかわるようなギミックは早い段階で開放しても良かったと思う。
その他
音楽についてはどれも良いのですが、何よりもリリースと同時にサブスク解禁というのが良かった。
ゲームで気になったアイドルの曲をサブスクで聴いて、より興味を持つ、というサイクルが上手く回っていたように思います。
まとめ
私は正直ソシャゲはあまり好きではない(Pay to Winだから)ので、今作は「アイマス」という理由があったから始めました。
ですが、いざ始めてみるとハマるハマる。
そして、アイドルの成長に泣ける泣ける。
キャラクター愛だけでなく、ゲームとしてもしっかり楽しめる作りになっていて、個人的には好印象です。
気になった方は是非一度プレイしてみてください。
今だったら始めてすぐ20連くらいできるはず。
コメント