映画「シュガー・ラッシュ オンライン」感想・考察 本作は視聴者に何を伝えたかったのか

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前作で仲良くなったヴァネロペとラルフ。
今作はその二人の友情に言及する内容になっています。

ラルフの成長物語を通して、友情のかたち、あり方について考えさせられる作品です。

全体的にコメディに寄せたつくり

前作と比べてかなりコメディ寄り。

それなりにシリアスなテーマを扱っているため、エンタメに寄せることで暗い話にならないようにしているのかな、と感じました。
これはやっぱりディズニーらしく万人が楽しめる作品を目指すが故なんだと思います。

そしてこの作品のコメディ部分はほとんどがセルフパロディ。
当時のCMでも話題になってたディズニーの自虐的な笑いはかなり攻めてましたよね。
ミュージカルいじりとかプリンセスいじりとか。斬新です。

余談ですが、この画像見てわかる通り、プリンセスの私服、めちゃめちゃセンスありますよね!
個人的には一番見ごたえのある絵面でした!

ヴァネロペの描写はちょっと薄い

エンタメにかなり振っていることもあり、映像的に見ごたえのあるシーンが多いです。
その代わり、ストーリーとかキャラクターの細かい感情の動きがちょっと薄かった気が。

ストーリー展開が早いのはいいけれど、一つ一つのシーンの余韻がないのは個人的に少し残念です。
よく言えば飽きずに見られるけど、悪く言えばあまり印象に残らない

特にヴァネロペの描写が薄い、という感想を良く見かけます。
上述の通り、全体的に一つ一つの描写が小さめな上に、ストーリーが主にラルフの視点なので、ヴァネロペ側の心情描写はかなり薄く見えるんですよね。

これは確かに僕もそう感じたんですけど、話の都合上しょうがないかな、と思います。
要所要所でヴァネロペの葛藤とか決断なんかも描かれていたので、十分なんじゃないかと。

本作はあくまでラルフのお話
ヴァネロペを救うために慣れないことをして一生懸命に頑張るラルフの姿を見て応援したくなる。
その気持ちが大事。

友情のかたち

この作品のテーマであろう「友情」について、僕の感じたことをまとめます。

親友なんだからいつも一緒にいるべきだとか、親友である自分が一番であるべきだとか、自己中心的な考え方でヴァネロペを困らせるラルフ。ほとんどメンヘラです。

そんなラルフから偏った愛情を向けられているヴァネロペは、冒険の途中で自分の本当にやりたいことを見つけます。

しかしそのためにはラルフと別の道を歩むこととなる。
ラルフの考える幸福論に真っ向から対立することとなってしまいます。

そのことに悩み、葛藤するヴァネロペ。
物語の終盤、ヴァネロペは冒険の途中で出会った女性、シャンクにこのことを相談します。

相談を受けたシャンクは、彼女に自分なりの答えを示します。

それは「親友と同じ意見じゃなくてもいい。友情の形は一つではなく、時間とともに変わっていく。」ということ。

本作のおそらく一番のメッセージはこの言葉でしょう。

変わらない友情もあれば、かたちを変えていく友情もある。
きっとみんな経験したことがあるんじゃないかしら。

そういう変化って、時間をかけてゆっくりと、いつの間にか変わっていることが多いと思いますが、それにしても変わっていくきっかけはあるもの。

ラルフとヴァネロペの二人にとってはインターネットの世界への冒険がきっかけとなりました。
前作から6年後の話ですから、ちょうどそういうことを考え始める時期だったのかな、とも思います。

不安定だけど刺激的な生き方を選んだヴァネロペと、堅実で安定した生き方を選んだラルフ。

本編ラストシーンじゃラルフがとても哀愁の漂う雰囲気なもんだから「あれ、もしかしてこれは離別エンド?」と思いましたが、スタッフロール中のおまけ映像を見る限り、その後も楽しく過ごしているようで安心しました。

離れた場所で過ごしていくことになった二人ですが、お互いの予定が合うときを探して一緒に遊んでいるみたいです。

シャンクは「変わっていく友情もある」と話しましたが、一方で二人の友情の本質は変わらず、むしろ今回の冒険を経てお互いを尊重できる関係になったのだと思います。

「変わっていく友情」を描く中で「変わらない友情」というのもまた、この作品で伝えたいメッセージだったのかもしれません。

自分の欠点を克服する難しさ、そして強さ

物語の終盤、ヴァネロペとシャンクの話を偶然聞いてしまったラルフは、無知ゆえにウィルスを使ってシャンクのいるゲームを崩壊させてしまいます。

ウィルスはそれだけにとどまらず、ラルフの「ヴァネロペに対する異常な執着」という欠点をコピーし、ウィルスという形でインターネット全域にばらまきます。

このラルフから生成されたウィルス(以下、便宜上ラルフウィルスと呼びます)が、このラルフウィルスに関するくだりが、ラルフの成長を描く上で最も重要な要素となっています。

ラルフウィルスの特徴は大きく分けて二つあります。

  • ヴァネロペに異常な執着を持っている。
  • あらゆるものを破壊する。

こうして書くとわかるように、どちらもラルフ自身が持つ性質です。
見た目だけでなく、その性質も自分自身と同じということ。

ラルフウィルスを通して自分を客観的に目の当たりにしたラルフは、最後には自分の欠点を認めて克服することで、ウィルスそのものを除去します。

この経験を経て、彼は文字通り自分の殻を破り、ひとつ大きな成長をしたのです。

ところで、このラルフウィルス、見た目はラルフそのものですが、正直結構気持ち悪いです。
表情とか動きとか。

おびただしい数で押し寄せてくる様や、一体化して巨大化した姿もやっぱり気持ち悪く描かれているのですが、これは自分自身の内面と向き合う気持ち悪さ、怖さを表現したものなんじゃないかな、と思います。

自分の醜さなんて、頭では何となくわかっているものです。

でもそれをはっきりと認識するのは辛いし、悲しいし、怖い。
誰だって強い嫌悪感があります。

だから無意識に目をそらしてしまうのです。

それと正面からまっすぐに向き合うことはとても難しく、精神を削られるものと思いますが、ラルフは負けずに立ち向かいました。

彼のその姿はとても力強く、見ているこちらにも勇気が湧いてきます。
ネガティブなものを描きながらも、最終的にはポジティブな気持ちにさせてくれるのはさすがディズニーといった感じですね。

キャラクターが素敵よね

「シュガー・ラッシュ オンライン」を見て感じたこと、考えたことを文章化してみました。

個人的には前作の方が好きです。わかりやすくて。

とはいえ、今作も嫌いではないです。
最後の方は泣いちゃいましたしね。友情がテーマの話には弱いんですわ。

僕はストーリー以上に、キャラクターとしての彼らが本当にかわいらしくて好きなので、ディズニーリゾートとかで活躍してくれると嬉しいです。

アトラクション化したら面白そう。

 

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