「ルートダブル -Before Crime * After Days-」ネタバレ感想 ストーリー総評やシステム面やらの話

ゲーム

先日、ルートダブルをこれからプレイする方向けの紹介記事を書きました。

「このゲーム、プレイしてみてね」という記事を書くにあたって、ネタバレは厳禁ですよね。
シナリオがメインのゲームは特に。

なので、今回は本作をクリアした方を対象に、ネタバレありで僕の感じたこと、考えたことを書いていきます。

※まだプレイしていない方はこの先の内容は絶対に読まないでください!
 ネタバレを見ると面白さが半分以下になります!

シナリオについて

ルートダブルは何と言ってもシナリオの評価が高いです。
僕がこのゲームをプレイしようと思ったのも、それが理由です。

そこで、まずはストーリーの感想を書いていきたいと思います。

ストーリーは重厚!ゆえに飽きない

ルートAは密室からの脱出サスペンス、BではSF学園モノと、全く異なるテイストの話だったのは良かったです。マンネリ化しない。

ただルートBは日常がメインだったので、個人的にはAの後だと緊張感があまりなく、少し冗長に感じてしまいました。

日常パートの至るところに物語の補足的な話が散りばめられているので、あとから考えると面白いんですけどね。

あとは全体を通してのことですが、話が二転三転するどころか、4転5転6転していくのは非常に面白く、引き込まれました。

その時真実だと思っていたことが次の瞬間に真実ではなくなる、というのは、この話のテーマの一つである記憶の話と同じだなぁと感じました。

視点が変わることで、さっきまで見えていた真実が変わるというのも同じく。

ストーリーは文句なしに面白かったです。

人格と記憶の話

「ひぐらし」を彷彿とさせる、狂気に触れた人々。
その原因が記憶の改ざんであるというのは予想できませんでした。

思い返せばルートBの途中で人格は記憶によって作られるという話があったけど、それが伏線だったんだなぁとしみじみ。

この「記憶が人格を形成する」という話、個人的にすごく面白いと思ったポイントでした。調べてみると、完全に解明されていないもののそういう説が実際にあるみたいですね。

作中でも納得できるだけの説明がありましたし、リアリティのある設定でした。

それぞれの記憶がつながるエンディング

グランドエンドで語られるQの真実は熱かったですね!

一人ひとりの経験した記憶だけではわかり得ない情報のつながりを、BCを持つ夏彦だからこそ認識出来たという。

それもやはり夏彦だけでは知り得なかったことで、関わった全ての人たちがいたからこその真実というのが熱い。

こう、みんながいたからこそたどり着けたという感じが非常に良かったです。グランドエンドに相応しい。

作品のテーマについて

ここまでストーリーに関する感想を書いてきましたが、ここからもう少し踏み込んで作品のテーマやメッセージ的なところについても書いていきたいと思います。

あくまで僕の個人的な感想になりますので、製作者サイドとのずれがあるかもしれませんがそこは大目に見てください。

それぞれの価値観、それぞれの正義

「人それぞれに価値観があり、それぞれの正義がある」というのが作品のテーマだそうです。

各登場人物が仲間に見えたり敵に見えたり、人間不信になりながら進んでいくのですが、それは結局のところ、それぞれ自分の正義があるからこそ。
敵や味方という以前に、自分の正義を貫くために行動しているのです。

このテーマは共感できるところが多くあり、今後自分自身の考え方にも少なからず反映されてくるだろうな、と思います。

また、この「それぞれの正義がある」というのがわかるのは終盤なので、それまで「謎の多い登場人物たち」に対する緊張感がなくなることはありませんでした。

真実を知った時は衝撃を受けると同時に、キャラクターに対する親近感というか、「この人も僕らと同じ人間なんだ」という安心感が湧きます。

やっぱり相手がどういう人なのか、何を考えているのかがわかると安心しますよね。
これは現実でも同じかな、と思います。

他者とのコミュニケーション

上で書いた「安心感」の話に通ずるところもあるかと思いますが、他者とのコミュニケーションもこの作品の重要なテーマであったように思います。

人とのコミュニケーションって難しいものです。相手が何を考えているかなんてわかりません。

言葉では好意的でも、心では別の気持ちをもっているかもしれませんし、その逆もあるかもしれません。

ですが、だからといって何も信じずに心を閉ざしていては、通じ合うことなどできないのです。

「人の信頼を得るにはまず自分が信頼する」というのはよく言われることですが、このゲームでキャラクターたちの心を繋いだのはまさにその考え方でした。

BCという超常的なコミュニケーション手段を通して、他人との関わり方を見つめ直す、そんな話だったのかな、と思います。

システムとか演出とか

システム面やストーリー上の演出など、プレイするうえで感じたことを書いていきます。

ここは「ちょっと残念だったなー」という感想が多めです。

分岐システム「SSS」について

センシズシンパシーシステム、通称SSSという分岐システムは斬新でしたよね。
単なるシステムではなく、作中の設定と絡められていたのは感心しました。

ただ、0〜8の9段階あることにあまり意味がないというのは少し残念でした。

ほとんどが好意的かそうでないかの2択で事足りるんですよね。

あと、僕だけかもしれないですけど、「こういう値にするとこういう選択になる」という分岐の理由があまりピンと来なかったです…
このキャラクターの数値を上げたらこうなるのはなんで?みたいな。

仕組みがよく分かってなかったかもしれません。

終盤のテンポ感が悪い

ルートDで、記憶を取り戻した渡瀬と夏彦が協力して狂った仲間たちの記憶改ざんをもとに戻す試みをします。

そこで各キャラクターの過去が描かれるわけですが、これが少しテンポを悪くしていたように感じます。

終盤だから、スムーズに真相に向かいたいんですよね。高まっている感情のままに最後まで読み進めたい。

ですがそれぞれの過去回想が入ることで、高まった感情が一旦落ち着いちゃうんですよね。

先日映画「バードマン」を見たときに、シーンが途切れずに続くことによる緊張感の持続をこの身をもって感じました。

この作品の場合はその逆で、緊張感を持続していきたいところで過去回想に入るから、シーンが途切れちゃうんですよ。これは残念でした。

重要でない分岐によるやり直しはしんどい

もう一つ、これは僕がテキストタイプのアドベンチャーゲームに対して感じることなのですが、あまり大きな意味のない選択肢でやり直しをさせられるのはとても苦痛です。

今作ではなんと言っても、件の各キャラクター過去回想シーン直前の選択肢。

各キャラクターの過去を深く知りたいか、時間がないから要点だけにするか、という選択肢がありましたが、これが非常に重要な分岐で、ここを要点だけにすると、キャラクターに関する重要な情報を得られないだけでなく、グッドエンドにたどり着きません。

しかも、それに気づくのはエンディングまで進めてからなので、そこからかなり戻って進め直さないといけません。

これが本当にしんどかった。

要点だけを知る、ということに大した意味がないなら、ここは選択肢を設けずに過去を見せてくれたほうが良かったのではないかと感じました。

あるいは、選択肢を間違えたことにすぐ気付けるようにするとか。バッドエンドに繋げるとかして。

このせいで、いったん高まりに高まっていた感情が一気に冷めてしまいました。

そりゃそうですよね。
脱出の瞬間のあのキャラクター達に感情移入してたのに、そこから脱出の数十分前まで戻らないといけないんですから。

その上、先述したように過去回想でさらに緊張感は薄れていくのです。

ここだけは非常に勿体なかったところでした。

総評

いろいろと書いてきましたが、トータルでいえば非常に面白い作品です。

プレイ時間も40時間ほどと大ボリュームでした。

これだけのボリュームでありながら、途中で間延びしてしまうこともほとんどなく、終始緊張感と期待感を持ちながらプレイできる作品でした。

中澤工さんの作品は今回が初めてのプレイでしたので、時間のある時にever17などほかの作品にも触れてみたいと思います。

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