フリーゲーム『One week, My room』感想考察 ゲームに込められたメッセージを読み解く

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フリーゲーム界隈で話題になっていたフリーゲーム。

毎日1回だけ行えるアクションを1週間繰り返す、シンプルなゲームです。
とても考えさせられる内容だったので、情報をまとめつつ考察してみます。
感じたことを綴っただけで起承転結のある内容ではないですが、クリアした方の考察の一助となればうれしいです。

本記事はこのゲームをクリアした方に向けた内容です。
ネタバレ満載なので、未プレイの方はまずプレイしてみてください。
プレイ時間は30分から1時間程度なので。

ダウンロードリンクは以下リンク先のページ下のほうにあります。

どんなゲームだったか

プレイヤーは主人公のイマジナリーフレンドとなって、一週間を過ごす。
出来ることは1日に一回家具を調べる(動かす)ことだけ。
ゲームの目的は、主人公の死を回避すること。

回避しなければならないのは、以下の2種類の死。

  • 隣のお兄ちゃんに性的暴行を加えられて死亡(精神崩壊?)
  • 拠り所としていたラジオが終了することのショックで自殺

チュートリアルなどの説明もないため、最初は戸惑いつつも出来ることを試してみるところからゲーム開始。

良くわからないなりにプレイしてみると、突然ラジオを壊したり、不穏なメモが読み上げられたりとミステリ要素が飛び出してくるので、真相が知りたくてついプレイを続けてしまう仕掛けになっています。

ゲームオーバーになるごとにTipsが解放されていき、物語の真相が少しずつ分かってくるため、周回プレイ必須の作品です。

主な登場人物について

このゲームの面白いところの一つが、各登場人物です。
ゲーム開始時点ではそれぞれの人物像がほとんどわかりません。

人物まわりで特にミスリードを誘うのが「おにいちゃん」という言葉。
作中では「おにいちゃん」という言葉が二つの意味で登場します。

一つは男の子(主人公)が隣人を呼ぶ際に使う「おにいちゃん」。
もう一つは、妹(プレイヤー)が主人公を呼ぶ際に使う「おにいちゃん」。

この叙述トリックをはじめとして、このゲームではミステリの手法が各所にちりばめられています。
これもまた評価されている理由の一つだろうと思うところです。

というわけで、作中に登場する人物について簡単に整理してみました。

男の子

主人公。小学生。
学校ではイジメられていて、7月から不登校。(ゲーム開始時は12月)
死にたいと考えることもあるが、毎週土曜のラジオを拠り所として生きている。

隣人のお兄ちゃん

男の子の家の隣に住んでいるお兄ちゃん。恐らく大学生。
学業や人間関係のトラブルによるストレスで精神破綻した。
ある時、男の子の部屋から聞こえる音に苛立った彼は、椅子で壁を破壊し男の子の部屋に侵入。
以降、毎週木曜日に壁の穴から侵入し、ストレスのはけ口として男の子に性的な虐待をしていた様子。

一人でいることに寂しさを覚え、妹が欲しいと願った男の子の想いが生んだイマジナリーフレンド。
男の子の中にある別の人格。
いつかのクリスマスに母親からプレゼントされた妹のぬいぐるみが依り代といったところ。

プレイヤーが操作しているのはこの「妹」である。
男の子のことを「おにいちゃん」と呼んでいる。

お母さん

男の子のお母さん。シングルマザー。
男の子が4歳の頃に、クリスマスに手作りの人形をプレゼント。
シングル子育てにストレスを感じるも、煙草やお酒は我慢していた。
一方で、息子から「父親」という存在を奪ってしまったことに罪悪感を覚えている。

現在はネトゲにドハマりしていて、息子をほったらかしにしてゲーム三昧。
しかし息子への愛情を失ったわけではなく、やり場のないストレスをゲームで発散していたのだと思われる。

このゲームに込められたメッセージとは

このゲームが高く評価されている理由の一つは、このゲームを通して語られるプレイヤーへのメッセージだと僕は感じています。

プレイすればするほどに、込められたメッセージ性を強く感じることとなります。

「子どもの貧困」という実際に存在する問題

メッセージ性の強い作品だなぁ、と顕著に感じたのが「子どもの貧困」というタイトルのTips。

Tipsはどれも物語の真相を示唆する内容になっていて、読むことで「こういうことだったのか」とわかる仕組みになっています。

「子どもの貧困」もほかのTipsと同様に、この物語が子供の貧困に関係する話であることをプレイヤーに示唆する役割があるのですが、注目したいのはこのTipsに記載された内容は内閣府HPからの抜粋であるということ。
加えて引用元のURLまで記載されています。

「子どもの貧困がテーマですよ」ということを示すだけならば、その内容は創作でも構わないはずです。
しかしあえて現実の事象をそのまま記載しているところに、確固たる意志を、そして強いメッセージ性を感じました。

誰が被害者で、誰が加害者なのか

主人公の男の子にフォーカスを当てて進んでいくので、一見すると男の子が被害者でそのほかの登場人物はすべて敵のように見えるのですが、Tipsを読んでいくとそれぞれの人物がそれぞれの悩み・問題を抱えていて、葛藤しながら生きていることがわかります。

つまり、「男の子の死を回避する」という体験を通して、「社会に生きるものならば誰もが直面しうる問題」に焦点を当てているんですよね。

ある視点で見れば確かに被害者と加害者が存在するかもしれません。
しかし別の視点から見れば、加害者だった人物が被害者かもしれないのです。
それがこの問題の難しいところ。

いうなれば、誰もが被害者であり、そして加害者になりうるということ。
それを意識せずに特定の人物をただ責めるだけでは、根本的な問題は解決しません。

どう向き合っていけばよいか、自分なりの答えを考えながら日々過ごしていきたいところです。

ノンフィクションに近いフィクション

ゲーム内のストーリーは当然フィクションですが、主人公を取り巻く環境や「死」という結末など、ノンフィクションが取り入れられています。
それも、とても身近な問題です。

身近でありながら普段は意識せずにいるこのような問題が、プレイヤーの心にズシリとのしかかるのです。
それを払いのけるか、抱えて進むのかはプレイヤー次第ですが、少なくとも考えるきっかけとなるのは確かでしょう。

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