4人のマジシャンが集まり、盗みをする話。
ハルク役で有名なマーク・ラファロが刑事役で出演してます。
原題は「Now You See Me」。
どんな映画?
2013年のアメリカ映画。
監督はトランス・ポーターのルイ・レテリエ監督。
4人のマジシャンが謎の男に集められ、エンタメショーを実施します。
そのショーの中で、パフォーマンスの一環として、銀行の金を盗む、という話です。簡単に言うと。
各ジャンルのプロフェッショナルがそれぞれの持つスキルを駆使して金を盗む、オーシャンズ11のような映画…かと思いきや、そうではないんですよね。
これがいい意味での裏切りなら良いんだけど、常に期待を少し下回り続けるという残念な感じ。
残念ポイントを一つずつ解説します。
開始10分の期待感の高さ
本作は4人のマジシャンがそれぞれのスキルを存分に見せつけるシーンから始まる。
高層ビルを使った派手なマジックを見せつけるマジシャン、一瞬で非常に強い暗示をかけるメンタリスト、脱出不可能に思える水槽から華麗に脱出する美女、マジックに乗じて軽やかにスリを働くマジシャン見習い。
どれもが素直に「おぉっ」と思えるものであり、この映画に対するわくわく感を高めてくれる。
それぞれのスキルを見せつけるこの冒頭のシーンは演出も良くて、一気に物語に引き込まれます。
ですが、ここがこの映画のピーク。
このシーンが非常に良いからこそ、本編に入ってからが見劣りするわけです。
活かしきれないキャラクター性
冒頭の各キャラクターの説明を読んで察した方もいるかもしれませんが、4人のマジシャンの中に一人メンタリストが混じってます。なんだか中途半端。
広く見れば、メンタリストもマジシャンの一種なのかもしれないけど。
メンタリストのスキルで悪事を働く、というのは非常に面白いんですけど、それならマジシャンに限らずもう少しいろんなジャンルのプロフェッショナルを出してほしかったなぁ。
まあそれは良しとしましょう。それほど悪いことじゃない。
マジシャンといっても、冒頭のシーンを見る限りそれぞれ少しずつ得意ジャンルが違うのだから。
と思って見進めていくと、気づくんです。
こいつら、あんまりスキルに差異がないな、と。
メンタリストは暗示をかける能力を駆使して人々を翻弄しますし、マジシャン見習いの青年は「どんな鍵でも簡単に開けられる」というスキルがあって、これが要所要所で活躍するのですが、残りの2人、イケメンと美女がいまいちパッとしない。
そもそもこの二人、元同僚(マジシャンと助手の関係)なので、できることも似ているんでしょうね。
美女なんて、冒頭で華麗な脱出を見せつけてたからそれを活かして活躍するのかと思いきや、全く出てこないですからね、脱出するシーンなんて。
この時点で、期待していたものとちょっと違うんですよ。
少なくとも僕は、最初に書いたように、それぞれの持つ特有のスキル(個性と言い換えてもいいかもしれない)を生かして、パズルのように互いにうまく噛み合いながら、爽快な盗みを働くものだと思ってたんです。
それこそオーシャンズ11のような、伊坂幸太郎の「陽気なギャング」シリーズのような。
というわけで、この時点で少しがっかりしてます。
目的が謎
次に残念ポイントとして挙げたいのはこれ。
集められた4人が何故こんなことをしているのかがわからない。
序盤中盤はいいんですよ。目的が分からないことが物語への期待感になるんで。
ただこれがね、終盤になってもよくわからない。
僕だけかしら。
「アイ」って名前の魔術結社のようなものがあって、そのメンバーになるための試験みたいなものだったんですよね。
けどそれってそこまでして入りたいものなのか、入ったらどうなるのか、みたいなところがよくわからないまま進みます。
マジシャンの彼らにあまり葛藤もなさそうで、なんかあっさりしてました。
その割には結構命かけてカーチェイスとかしてたけど、そんなに重要なの?って感じ。
ただ、4人を集めた男の目的。
こっちについて言えば、個人的には良かったです。
ある男に復讐をしたかったから、というシンプルな目的なんですよね。
4人を集めたのが、彼らを追っていた警察だったというどんでん返しもよい。
彼の目的は、モーガン・フリーマン演じる男への復讐だったわけで、ここは「ああなるほどね」と納得できるオチでした。
シナリオ以外は良かった
まあ、批判的な感想を書いてきたわけですけど、全部シナリオへの不満です。
役者はとても良かったし、なんだかんだで2時間ほとんど飽きずに楽しめましたんで、そういう意味では満足。
「マジシャンたちが集まって盗みをする」という設定が非常に面白そうなこと、冒頭のシーンの期待感がめちゃくちゃ高いこともあって、全体的に物足りない感じに見えてしまいました。
ハードルを下げてみれば普通に楽しめると思います。
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